2002年7月23日 ~Scaffolding

構成主義的学習観のなかでしばしば登場する用語ですが,「学び」の足場を築いてあげるという支援の意味合いがあります.足場ですから,学ぶことができるようになれば取り除くこと(Fadingというようです.)が前提となります.一人では学ぶことができなくても,足場に足をかけて学べば何とか手が届く.足場はPeerであったり,環境であったり,ツールであったりと様々.しかし,折角築いた足場でも,手が届かなければ無いのと同じ.個々の学習者に合わせた足場が不可欠なのです.Scaffoldingにどういう条件が求められるか,以前マイクロワールドの研究でも同種の議論がなされておりますが,私にとって今一番ホットなトピックです.


2002年7月18日 ~Adaptive Web

CACM Vol.45, No.5で,Adaptive Webの特集をしていました.WebコンテンツのAdaptationということで興味があり,特にこれまでのAdaptive Hypermedia(AH)関連の研究との違い,新規な部分を知りたくて読んでみました.いくつかの記事が載せられていて,いずれも概要レベルのもので,Adaptive Webを概観するには良いと思います.ただ,「AHからの飛躍」という観点よりも,AH支援方法の応用というニュアンスで書かれているようです.新たなシーズ・ニーズを期待していたのですが,WebはAHにおける支援技術を試すには絶好の題材ということを再認識した次第です.


2002年7月17日 ~閑話休題:Footballと私

W杯が終わってしまいましたが,Football大好きにとっては,少々寂しいですね.Footballの魅力にとりつかれたのは1996年にUKで行われたEuroCupでした.当時,在研でドイツに渡ってすぐの頃でしたので,慣れない環境の中,ふとテレビをつけるとやっていたのが,このEuroCupでした.イングランドの非常にアグレッシブな攻撃サッカー,オランダの怒濤の攻め,イタリアの鉄壁の守り,ドイツの堅実かつ基本に忠実なサッカー,同じFootballなのにこれほど豊かにフィールドで個性が表現されることに感銘を受け,それ以来Footballを見るのが大好きになりました.優勝したのは,ドイツでした.町中大騒ぎで,それを間近で見ることができました.なにはともあれ,相手や環境に左右されず,自己表現することはなかなか難しいことと思いますが,信念を持ってそれを貫くようなものを見せつけるFootball.今回のW杯では,日本は大健闘だったと思います.日本のFootballもさらに個性を鮮明にして,より高いレベルに登ってほしいですね.


2002年7月17日 ~モバイル・ユビキタスとユーザモデリング

最近,といってももう2年くらいになりますか,モバイル・ユビキタスというキーワードをよく目にします.コンピュータ利用環境の広がりとともに,人間とコンピュータとの関わりも多様性を増してきた感があります.中でも興味を引くのが,こうしたモバイル環境でのエージェント機能.エージェントの知性として,ユーザの要求や状態に応じた情報提示があります.この実現にはユーザモデリングが必要ですが,通常のCHI環境と比べてモバイル環境になるとモデリングの何が変わるのでしょう.モバイル環境だと色々なセンサーからユーザ情報が集められそうです.特に場所情報(ユーザが今どこにいるのか)はモバイル環境では非常に重要になりそうです.場所に応じて観光・道路・天気情報を変えるなどなど.エージェントにとって情報空間と物理空間をつなぐ非常に重要な情報になるかなと思います.一つ研究テーマを作ってみたい


2002年7月17日 ~久しぶりの更新・2年ぶりとは

久しぶりの更新になります.なんと,2年ぶりとは.少なくとも毎月更新しようと思ってはじめたsomethoughだったのですが,2年間もほったらかしでした.と言っても,何も考えていなかったわけではないのですが,徐々に書いていきたいと思います.


2000年4月4日 ~空欄補充:記憶の強化と思考の促進

空欄補充問題.これは,結構教育や学習に役立つ問題と思っておりまして,工学的に作成する方法を考えています.では,どう役立つのか?例えば,プログラム中に空欄を設けてそこを埋めるように指示する問題.このような問題を解く場合,単に記憶をたどるだけでは無理で(まさか,プログラムコードを覚えているわけではないでしょうから),空欄の前後関係を考えながら,つまりプログラムを理解しながら,空欄補充することになります.これは,空欄が理解を促す例となっていますが,単にプログラムを与えて理解しなさいとか,プログラミングを強いるような問題に比べて,「理解」を促すのに適した問題と言えます.一方,空欄補充問題には,過去に記憶した事柄を思い出すことを求めるタイプもあります.よく,地理や歴史の教科書にある語句をマークしてその上から同系色のプレートをおいて学習したことを思い出しますが,それと同じ.これは,記憶を強化することを目的としていると考えられます.これら以外にも考えられるかもしれませんが,結構役立つ問題タイプのように思います.ただ,学習や教育にとって効果的な空欄を設けるのはなかなか難しいと思います.人間でも結構大変.プログラムについては,成功したと自画自賛しております.


2000年4月4日 ~適応:Webリソース内容の雑多さを越えて

Web上に公開された「既存の」学習向けリソース(ホームページ)を学習する機会は今後ますます増えていくことが予想されます.それが,検閲されているかどうかに関わりなく.しかしながら,こうしたリソースを用いた学習に対して適応的に支援するのは非常に難しい.主な理由は,他人が作ったリソースですので,リソースの内容を理解しないといけないことと,One page one topicではないのが一般的なので,学習者がどこを学んだのかを掴むのが難しいことが挙げられます.また,学習支援を施す上で,ページ間の関係(ページ内のトピック間の関係も)が不明瞭であること.一つのアプローチは,XMLを用いて,リソースの内容やページ間の関係をきっちりと書いておいて,XMLタグをもとに適応する手があります.つまり,リソースの内容を把握するということです.しかしながら,リソースの書き方を規定することになるので,「実用的」にはWebに関わるAuthorsにそれを求めるのはやはり大きなオーバヘッドを感じます.(ただ,XMLタグをオントロジーのように整備する研究は面白いと思っています.)なんとか,内容まで踏み込まずに,効果的に支援する手はないだろうか.ということで,LearningBench Projectを始めました.基本的な思想は,Learner-centered and Adaptationです.すでに基本機能は出揃いつつあります.


2000年1月27日 ~教育支援か学習支援か

学習(教育)支援システムの研究をやっていると,教育支援と学習支援の使い分けが気になることがあります.多くの場合,同じ意味で用いられていると思いますが,支援システム(教師)がある(教育)目的をもって,その達成に向けて躍起になるのが「教育支援」,目的を持っているのは学習者で支援システムがその目的の達成を助けるのが「学習支援」.系全体(学習者とシステム)から見ると,学習(教育)目的の達成に向けてインタラクションを行うわけですから,「教育支援」=「学習支援」に思えますが,いずれを掲げるかで支援システムの果たすべき役割は違ってくるように思います(目的達成を保証する程度とか責任感など).ネットワーク時代を迎え,主体的な学習(Self-directed learning)の重要性・必要性がますます増大していけば,「学習支援」と「教育支援」の使い分けが,より一層意識されるのかもしれない.


2000年1月21日 ~Self-directed Learningの日本語

最近,Life Long LearningやWeb-based Learningの文脈でよく言われるSelf-directed Learning.意味するところは,学習者自身が,(1)学習目標を設定,(2)学習リソース(教材)を選択,(3)学習項目・学習順序を決定,(4)教材に対する理解を作り上げるような学び方.なかなかいい訳が見つからない.主体的,自主的…,けど的確に表現していないような…適訳はないかなあ.


2000年1月21日 ~(学習向け)ハイパーテキストの使い道

下記の論文を読んでいて,ハイパーテキストの使い道を考えさせられました.どんな学び方にも使えるのか?例えば,何らかの基本的知識を応用して問題を解く.ハイパーテキストって,このような応用を目的とした学習向けにはなっていないことが多いように思います.(問題集がハイパーテキストで表現されているのは見たことがない)本来,基本知識を獲得すること,あるいは基本知識間の関係を理解するような学び方に向いている教材表現であるように思います.つまり,よく言う構成主義的な学習のための教材と考えるのが妥当なのでしょうか.ただし,*学習向け*ハイパーテキストに限った場合のお話しですが.


Diana Dee-Lucas : Instructional Hypertext: Study Strategies for Different Types of Learning, Proc. of World Conference on Educational Multimedia and Hypermedia 95 (ED-MEDIA 95) (1995).


2000年1月18日 ~ナビゲーションとナビゲーション支援

ハイパーテキストやハイパーメディアの学習支援研究でよく聞く「ナビゲーション」.もともと,航海とか航法という意味で使われるものですが,ここではハイパー空間を歩くというイメージです.学習支援の立場からいえば,歩くのを助けるのだから,ナビゲーション支援というべきだと思うのですが,多くの論文(日本語での)には同じ意味を表すのにナビゲーションが使われています(そう感じます.)なんか,変.日本語的なセンスでは,支援まで含むのかな~.